滋賀県を訪れる観光客が、着実に戻ってきています。
滋賀県が2026年10月20日に発表した「令和7年滋賀県観光入込客統計調査」の確定値によると、2025年の延べ観光入込客数は5,230万2,547人でした。前年より約186万人、率にして3.7%の増加です。
なかでも、延べ宿泊客数は410万1,588人となり、過去最多を更新しました。外国人観光客も前年比18.4%増加しています。
一方で、県内観光客の約92%は日帰り客です。観光客数全体も、コロナ禍前の2019年と比べると、まだ3.2%少ない水準にあります。
今回は、最新の観光統計から滋賀県の観光がどこまで回復したのかを確認し、観光客を地域の飲食店、小売店、サービス店舗へ呼び込むために必要なことを考えます。
滋賀県の観光客数は5,230万人、前年比3.7%増
2025年の主な観光統計は、次のとおりです。
・延べ観光入込客数 5,230万2,547人(前年比3.7%増)
・延べ日帰り客数 4,820万959人(前年比3.4%増)
・延べ宿泊客数 410万1,588人(前年比6.7%増)
・外国人延べ観光入込客数 60万9,296人(前年比18.4%増)
・観光消費額 2,436億円(前年比7.5%増)
観光客数だけでなく、日帰り客、宿泊客、外国人観光客、観光消費額のすべてが前年を上回りました。
滋賀県は、国スポ・障スポの開催や、「いこうぜ♪滋賀・びわ湖」「戦国ディスカバリー滋賀・びわ湖」といった観光キャンペーンなどが増加の背景にあるとしています。
ただし、「延べ観光入込客数」は県内839地点から市町へ報告された人数を集計したものです。同じ人が複数の観光地を訪れれば、それぞれの地点で計上されることがあります。県内を訪れた実人数が5,230万人という意味ではありません。
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宿泊客数は過去最多を更新
2025年の延べ宿泊客数は410万1,588人で、前年より25万8,512人、率にして6.7%増加しました。
コロナ禍前の2019年は408万1,500人だったため、2025年は約2万人上回っています。滋賀県によると、宿泊客数は過去最多です。
滋賀県は京都・大阪・名古屋などからアクセスしやすく、日帰りでも訪れやすい地域です。その利便性は強みである一方、観光地だけを訪れて県外へ戻る旅行になりやすい面もあります。
宿泊客の増加は、ホテルや旅館だけに影響するものではありません。夕食、夜の散策、翌朝の朝食、土産物、交通など、地域で過ごす時間が長くなることで、観光消費が複数の店舗へ広がる可能性があります。
宿泊客数が過去最多となったことは、滋賀観光が単なる立ち寄り先から、滞在する目的地へ変わる可能性を示す動きといえます。
それでも観光客の約92%は日帰り
宿泊客は増えていますが、2025年の観光客数5,230万2,547人のうち、日帰り客は4,820万959人です。
全体に占める割合を単純計算すると、日帰り客は約92.2%、宿泊客は約7.8%となります。滋賀県観光が現在も日帰り中心であることに変わりはありません。
日帰り観光そのものが問題というわけではありません。気軽に繰り返し訪れてもらえることや、近隣府県から大きな商圏を取り込めることは滋賀県の強みです。
重要なのは、日帰り客を無理に宿泊へ誘導することだけではなく、短い滞在時間のなかでも、観光地から周辺の街へ回遊してもらうことです。
観光施設を訪れたあとに地域の飲食店で食事をする、道の駅や商店街で買い物をする、体験施設や温浴施設を利用するといった動きが増えれば、日帰り観光でも地域への経済効果を広げられます。
宿泊客の消費額は日帰り客の約4.4倍
滋賀県の推計では、2025年の観光消費額は2,436億円で、前年より171億円、率にして7.5%増加しました。
1人当たりの観光消費額は、日帰り客が4,943円、宿泊客が2万1,773円です。単純比較すると、宿泊客は日帰り客の約4.4倍を消費しています。
宿泊費が含まれるため差が大きくなるのは当然ですが、宿泊客は食事や買い物、移動、体験などに使う機会も増えます。
観光客数を増やすだけでなく、滞在時間を延ばし、地域で使われる金額を増やすことは、観光の効果を宿泊施設以外の事業者へ広げるうえでも重要です。
外国人観光客は18.4%増、ただし宿泊はコロナ前に届かず
2025年の外国人延べ観光入込客数は60万9,296人で、前年より9万4,755人増加しました。
外国人の日帰り客数は36万2,102人で、2019年を10.3%上回り過去最多です。一方、外国人宿泊客数は24万7,194人で、2019年より27.7%少ない水準にとどまっています。
つまり、外国人旅行者が滋賀県を訪れる動きは強まっているものの、県内で宿泊する流れはコロナ前まで戻っていません。
京都や大阪の宿泊施設を拠点に滋賀県を日帰りで訪れる人を、県内宿泊へつなげるには、夜や早朝に楽しめる体験、複数地域を巡る行程、駅や観光地から宿泊施設までの移動手段、荷物預かりなども重要になります。
店舗側では、多言語での営業時間やメニュー表示、キャッシュレス決済、地図サービス上の正確な店舗情報など、訪日前後に検索される情報を整えることが来店機会につながります。

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人気観光地は「施設」と「街歩き」の両方
2025年の観光入込客数1位は「ラ コリーナ近江八幡」の221万228人、2位は「黒壁ガラス館」の193万7,559人、3位は「多賀大社」の190万8,832人でした。
4位は「めんたいパークびわ湖」、5位は「希望が丘文化公園」です。道の駅も上位30地点のなかに複数入っています。
一つの施設のなかで買い物や飲食、体験まで楽しめる場所がある一方、黒壁スクエアのように、中心施設から周辺の街並み、店舗、カフェへ歩いて回れる地域も高い集客力を持っています。
2025年に開業した「LAGO大津」は79万1,348人で初登場9位となりました。新しい集客施設が人の流れを生む一方、その来訪者が周辺地域まで回遊するかどうかで、街への影響は変わります。
観光施設の来場者数が多いからといって、周辺店舗の売上が自動的に増えるわけではありません。駐車場から施設へ直接入り、そのまま帰る動線であれば、施設外へ人は流れにくくなります。
市町ごとに観光客数の動きは異なる
県内の観光客数は、すべての市町で一様に増えたわけではありません。
市町別では、大津市が1,196万3,103人で前年比5.6%増、長浜市が639万3,884人で4.6%増、近江八幡市が476万1,977人で3.6%減となりました。
このほか、甲賀市は7.2%増、高島市は7.3%増、野洲市は6.0%増、彦根市は7.0%増です。一方、栗東市は8.3%減、米原市は3.0%減となっています。
観光施設の新設や休館、イベントの開催、天候などによって、年ごとの数字は変わります。単年度の増減だけで地域の観光力を判断せず、複数年の推移や集客施設の状況を確認する必要があります。
地域の店舗へ人を呼び込むために必要なこと
観光地から店舗までの動線を分かりやすくする
観光施設から徒歩や車で何分か、駐車場があるか、公共交通で移動できるかを分かりやすく発信します。「近くにある」だけでは、初めて訪れる人には伝わりません。
観光客が利用できる営業時間を考える
夕方に観光施設が閉まったあと、飲食店や土産物店も閉まっていれば、宿泊客が地域で過ごす選択肢は限られます。地域内で営業時間や定休日を分散できれば、街全体として滞在を受け入れやすくなります。
地域ならではの商品・体験をつくる
滋賀の食材、工芸、歴史、びわ湖の環境など、地域性のある商品や体験は、旅の目的や土産物になります。高額な商品だけでなく、短時間で参加できる体験や持ち帰りやすい商品も有効です。
検索される情報を最新に保つ
営業時間、定休日、決済方法、駐車場、予約の要否、外国語対応などを、ホームページや地図サービスで確認できるようにします。情報が古い店舗は、旅行者の候補から外れやすくなります。
住民の暮らしとの両立を考える
観光客の増加は地域経済に効果がある一方、交通渋滞、駐車、騒音、ごみなどの負担を生む場合もあります。地域住民が利用する道路や店舗を圧迫しない運営も欠かせません。
2026年からの滋賀DCで、次の変化が問われる
滋賀県では、2026年秋のプレキャンペーン、2027年秋の本番、2028年秋のアフターキャンペーンとして、滋賀デスティネーションキャンペーンが進められています。
今回発表された2025年の観光統計は、滋賀DCが本格化する前の基準となる数字です。
今後は観光客数だけでなく、宿泊客数、観光消費額、外国人宿泊客、地域内の回遊などがどのように変化するかを見る必要があります。
キャンペーンで一時的に人を集めるだけでなく、もう一度訪れたい場所や店舗を増やし、地域に継続的な消費と雇用を残せるかが重要です。
まとめ
2025年の滋賀県の延べ観光入込客数は5,230万2,547人で、前年より3.7%増加しました。宿泊客数は過去最多、観光消費額も2,436億円まで増えています。
一方、観光客の約92%は日帰りで、観光客総数は2019年をまだ下回っています。外国人観光客も増えていますが、外国人宿泊客はコロナ前の水準に戻っていません。
滋賀県の観光を地域経済へつなげるには、観光客数の多さだけを見るのではなく、滞在時間、移動経路、店舗利用、宿泊、消費額まで確認することが大切です。
観光地から周辺の街へ歩きたくなる動線と、旅行者が利用しやすい店舗やサービスを整えることが、日帰り中心の観光から次の段階へ進む鍵となります。
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参考情報
・滋賀県「令和7年滋賀県観光入込客統計調査 確定値について」
・テナントテラス「27年ぶりの大型観光キャンペーンが始動!滋賀DCで県内の人の流れはどう変わる?」
※本記事は2026年11月2日時点の公表情報をもとに作成しています。観光入込客数は各市町から報告された観光地点の延べ人数であり、県内を訪れた旅行者の実人数ではありません。観光消費額は滋賀県の調査に基づく推計値です。













