土地の価格を知る代表的な資料の一つに、国土交通省が毎年公表する「地価公示」があります。
2026年の結果を見ると、滋賀県全体では地価の上昇が続き、特に草津市、守山市、栗東市など、JR琵琶湖線沿線を中心とする県南部の強さが目立ちました。
ただし、「滋賀県の地価が上がっている」という一言だけでは、地域の実態は分かりません。同じ市内でも、駅前、住宅地、ロードサイド、市街化調整区域では価格も動きも大きく異なります。
今回は、2026年1月1日時点の地価公示をもとに、草津・大津・守山を中心とした滋賀南部の地価動向を見ていきます。
そもそも「地価公示」とは?
地価公示は、国土交通省が全国の標準地について、毎年1月1日時点の1平方メートル当たりの正常な価格を判定し、公表する制度です。
一般の土地取引、公共用地の取得、不動産鑑定などで価格を考える際の目安として使われます。
ただし、公示価格は、その地域にあるすべての土地の価格を示すものではありません。実際の売買価格は、土地の形状、接道、駅距離、用途地域、建物の有無、取引時期、売主・買主の事情などによって変わります。
また、市別の平均価格は、市内に設定された標準地の単純平均です。高価格の駅前商業地が含まれる市と、住宅地中心の市では構成が異なるため、平均値だけで市同士を単純比較しないことが大切です。
滋賀県全体では上昇が続く
2026年の滋賀県内の公示地価は、全用途の標準地を単純平均した参考値で1平方メートル当たり約7万262円、対前年の変動率はプラス1.7%となりました。
用途別の平均変動率では、住宅地がプラス0.9%、商業地がプラス2.8%、工業地がプラス6.8%です。
特に工業地の伸びが大きく、物流・製造拠点としての需要や、利用できる土地の限られた地域での需給が影響していると考えられます。
一方、県内すべての市町で一様に上がっているわけではありません。交通利便性、人口動向、商業集積、企業立地などによって、地域差が広がっています。
2026年公示地価の市別平均価格(単位:千円/㎡)。国土交通省データをもとに集計された参考値です。
滋賀南部5市の平均価格と変動率
草津市、大津市、守山市、栗東市、野洲市について、公示地価の平均価格と対前年変動率を整理すると、次のようになります。
草津市 17万4,646円/㎡ 前年比プラス5.4%
大津市 10万7,618円/㎡ 前年比プラス3.1%
守山市 10万7,527円/㎡ 前年比プラス4.0%
栗東市 9万667円/㎡ 前年比プラス4.0%
野洲市 7万208円/㎡ 前年比プラス2.8%
平均価格では草津市が突出し、大津市と守山市がほぼ同水準です。一方、上昇率では草津市が最も高く、守山市と栗東市も4%台となりました。
京都・大阪方面へ通勤しやすいJR琵琶湖線沿線で、住宅、店舗、事業所用地への需要が続いていることが、県南部の地価を支える要因の一つと考えられます。
2026年公示地価の対前年変動率。市平均は標準地の構成によって影響を受けるため、地域動向を読む参考値としてご覧ください。
草津市―駅前だけでなく住宅地も高い
草津市は、県内の市町別平均価格と上昇率の双方で上位となっています。
2026年の標準地では、草津駅東口から約80メートルの大路一丁目が1平方メートル当たり51万円、南草津駅前の野路一丁目が44万1,000円となりました。西大路町の草津駅西口側も42万円です。
住宅地でも、草津駅から約700メートルの野村一丁目が21万7,000円、南草津プリムタウン一丁目が17万5,000円となっています。
草津・南草津の両駅を中心に、交通利便性、商業施設、医療・教育環境がまとまっていることが、商業地と住宅地の双方を支えています。
ただし、同じ草津市でも、駅から離れた住宅地や市街化調整区域では価格水準が大きく異なります。「草津市だから高い」のではなく、駅距離、道路条件、用途地域、周辺の土地利用を個別に見る必要があります。
大津市―市域が広く、地域差も大きい
大津市の平均価格は1平方メートル当たり約10万7,618円、前年比プラス3.1%です。
大津駅前の梅林一丁目にある商業地は39万4,000円、瀬田駅前の大萱一丁目は28万9,000円となっています。京都への近さや駅の利便性が評価される中部・南部では、比較的高い価格が見られます。
一方、大津市は南北に長く、堅田、瀬田、大津京、膳所、石山、大津駅周辺、湖西北部などで市場が異なります。市全体の平均値だけでは、個別地域の動きを捉えにくい市です。
大津市の土地や物件を検討する際は、最寄り駅と駅距離に加え、京都方面への交通、坂道、道路幅、生活施設、災害リスクなども含めて確認する必要があります。
守山市―駅周辺と市街地の需要が堅調
守山市の平均価格は1平方メートル当たり約10万7,527円で、大津市とほぼ同水準。変動率はプラス4.0%となりました。
守山駅前広場に面する勝部一丁目の商業地は23万5,000円、駅から約1キロメートルの今宿二丁目の住宅地は14万5,000円です。
守山市は、駅周辺の住宅需要に加え、生活利便性や子育て環境への評価が高く、市街地の住宅地が安定して支持されています。
一方、琵琶湖側や市街化調整区域を含めると、市内でも価格差があります。駅周辺の上昇を市全域へそのまま当てはめることはできません。
栗東・野洲にも広がる沿線需要
栗東市は平均9万667円/㎡、前年比プラス4.0%。野洲市は平均7万208円/㎡、前年比プラス2.8%となりました。
栗東市では、栗東駅から約350メートルの綣六丁目の住宅地が15万3,000円、野洲市では野洲駅前の商業地が18万1,000円です。
草津や守山で土地価格が上昇すると、住宅や事業用地を探す人の選択肢が栗東・野洲へ広がることがあります。駅へのアクセス、幹線道路、駐車場の確保しやすさなど、それぞれの地域の強みが評価されています。
ただし、隣の市だから同じ動きをするとは限りません。駅徒歩圏、幹線道路沿い、工業地域、郊外住宅地など、土地の使い方ごとに需要を分けて考える必要があります。
地価上昇は、賃料や物件価格にどう影響する?
地価の上昇は、不動産市場の強さを示す一つの材料です。しかし、公示地価が5%上がったからといって、テナント賃料や収益物件の価格が同じ5%上がるわけではありません。
店舗・事務所・倉庫などの事業用不動産では、次の条件も大きく影響します。
・実際に得られる賃料と空室率
・前面道路の交通量と人の動き
・駐車場、間口、接道、搬入のしやすさ
・建物の築年数と修繕状況
・用途地域と出店できる業種
・投資家が求める利回りと借入金利
地価が高い地域でも、建物や立地がテナント需要に合わなければ空室は長期化します。反対に、地価が比較的低い地域でも、特定の業種に合う立地や十分な駐車場があれば、安定した賃貸需要を得られることがあります。
土地価格、賃料、収益性は関連しますが、同じものではありません。物件を所有・購入・賃借するときは、それぞれを分けて検討することが重要です。
まとめ
2026年の地価公示では、滋賀県全体の上昇が続き、なかでも草津市、守山市、栗東市など県南部の伸びが目立ちました。
草津駅・南草津駅周辺の商業地や住宅地は高い価格水準となり、大津、守山、栗東、野洲にもJR沿線の需要が広がっています。
ただし、市別平均だけでは、個別の土地や物件の価値は判断できません。同じ市内でも、駅距離、道路、用途地域、周辺施設、建物の状態によって市場性は大きく変わります。
テナントテラスでは、草津市、大津市、守山市、栗東市、野洲市をはじめ、滋賀県内の店舗・事務所・倉庫などの事業用物件を取り扱っています。物件の賃料査定、売却、活用、出店エリアのご相談もお気軽にお問い合わせください。
※公示地価は2026年1月1日時点の標準地価格です。市別平均価格・変動率は、国土交通省の公表データをもとに集計された参考値であり、個別の土地の査定価格や実際の取引価格を示すものではありません。
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