2026年10月1日、「滋賀デスティネーションキャンペーン」のプレキャンペーンが始まりました。
滋賀県とJRグループ6社、市町、観光関係団体、事業者などが一体となり、滋賀県の魅力を全国へ発信する大型観光キャンペーンです。滋賀県での開催は27年ぶりとなります。
2026年秋のプレキャンペーンに続き、2027年秋に本番、2028年秋にアフターキャンペーンが行われる3年間の取り組みです。
観光キャンペーンというと、観光地や宿泊施設だけに関係するように思えます。しかし、県内を訪れる人が増え、駅や観光地から周辺の街へ回遊すれば、飲食店、小売店、サービス店舗などにも新しい人の流れが生まれる可能性があります。
今回は、始まったばかりの滋賀DCの内容と、県内各地の人流や店舗需要にどのような変化が考えられるのかを見ていきます。
滋賀デスティネーションキャンペーンとは?
デスティネーションキャンペーン、通称「DC」は、JRグループ6社と自治体、観光関係者などが協力し、開催地域への旅行を全国規模で発信する観光キャンペーンです。
滋賀DCは、次の3年間で実施されます。
プレキャンペーン 2026年10月1日~12月31日
本キャンペーン 2027年10月~12月
アフターキャンペーン 2028年10月~12月
公式キャッチフレーズは「癒しがいっぱい、シガリズム。」です。琵琶湖を中心に、自然、歴史、文化、食、暮らしなど、滋賀県内に点在する魅力を体験してもらうことを目指しています。
単年度のイベントではなく、プレ、本番、アフターと3年間続くため、観光客を迎える仕組みや地域内の移動を、時間をかけて整えていく点が特徴です。

滋賀の観光イメージ。実在地点を撮影・再現した写真ではありません。
プレキャンペーンでは400以上の観光コンテンツ
滋賀県の発表によると、2026年10月から12月までのプレキャンペーンには、400以上の観光コンテンツが用意されています。
内容は、イベントや周遊企画、体験型観光など幅広く、公式サイトでは次の4つのテーマが掲げられています。
・アニメや映画などの舞台を巡る「推し・聖地巡礼」
・城跡、寺社、伝統工芸などの「歴史・文化・伝統」
・夜景やライトアップなどの「ナイトコンテンツ」
・自然や体験を通して心身を整える「Health&Wellness」
観光地を見るだけでなく、現地で体験し、複数の場所を巡り、滞在時間を延ばす企画が多いことが分かります。
これまで滋賀県を「京都や大阪へ向かう途中の地域」と捉えていた人に、滋賀県そのものを旅の目的地として選んでもらえるかが、キャンペーンの大きなポイントになります。
鉄道を使って県内を周遊する仕掛けも
滋賀DCでは、一つの観光地を訪れて終わるのではなく、鉄道や船などを使って県内を巡る企画が用意されています。
「鉄道版ビワイチパス」は、JR線や近江鉄道などを利用し、鉄道で琵琶湖周辺を巡れる2日間有効の周遊パスです。2026年10月1日から2027年3月31日まで利用でき、大人1人3,500円で販売されています。
このほか、信楽方面を巡る「にんにんパス」や、比叡山延暦寺への交通と巡拝券を組み合わせた「比叡山おでかけパス」なども設定されています。
公共交通による周遊が進めば、駅から観光地へ向かう途中や乗り換え地点で、飲食、買い物、休憩などの需要が生まれる可能性があります。
一方で、駅の利用者が増えても、観光客が駅からバスへ直行する場合や、旅行商品に含まれた施設だけを利用する場合は、駅前店舗への波及が限定的になることも考えられます。
「桃鉄」と連携し、県内19市町を巡る企画
プレキャンペーンの特別企画として、人気ゲーム「桃太郎電鉄」と連携した「桃鉄とびわ湖一周!目指せ近江の億万長者」も実施されています。
スマートフォンを使って駅、港、道の駅、観光スポットなどを巡るデジタルラリーと、県内19市町すべてを対象にしたリアルスタンプラリーを組み合わせた企画です。
デジタルラリーの対象は県内100か所。リアルスタンプラリーは京都府内を含む40か所にスタンプが設置され、鉄道だけでなく湖上交通も含めた周遊が促されます。
有名観光地だけに人を集めるのではなく、県内各地域へ足を延ばすきっかけをつくる点に意味があります。これまで観光客が少なかった地域でも、立ち寄り先や体験内容を分かりやすく発信できれば、新しい来訪につながる可能性があります。
人の流れは「駅から観光地まで」の途中にも生まれる
観光客が地域にもたらす需要は、宿泊施設や観光施設だけではありません。
駅から目的地へ移動する途中で利用するカフェや飲食店、地域の食品や工芸品を扱う物販店、荷物預かり、レンタサイクル、温浴施設などにも波及する可能性があります。
特に今回のキャンペーンでは、県内を複数日にわたって巡る企画や、夜間の観光コンテンツが紹介されています。日帰り中心だった地域で滞在時間が長くなれば、夕食、夜間営業、宿泊、翌朝の利用といった新しい需要も考えられます。
ただし、観光客が増えることと、すべての店舗の売上が増えることは同じではありません。観光客が実際に通る道にあるか、立ち寄る理由があるか、営業時間が旅行者の行動時間と合っているかによって差が生まれます。

観光客のイメージ。実在の街並みや店舗を撮影・再現した写真ではありません。
地域の店舗にとって考えられる3つの機会
1.地域らしい商品や体験を伝える機会
県外から訪れた人は、全国どこでも買える商品だけでなく、その地域ならではの食、工芸、歴史、景色を求めます。小規模な店舗でも、地域性を分かりやすく伝えられれば、観光客が立ち寄る理由になります。
2.駅や観光地からの回遊を取り込む機会
周遊パスやスタンプラリーによって移動する人が増えれば、駅と観光地の間にある店舗にも認知される機会が生まれます。地図情報、営業時間、入口の分かりやすさ、キャッシュレス決済など、旅行者が利用しやすい環境も重要です。
3.一度きりの来訪を再訪につなげる機会
プレキャンペーンは2026年で終わりますが、2027年に本番、2028年にアフターキャンペーンが続きます。SNSやオンライン販売、季節ごとの企画などで関係を保てれば、再訪や県産品の継続購入につながる可能性があります。
一時的なイベントで終わらせないことが重要
大型キャンペーンでは、期間中に来訪者が増えても、終了後に人の流れが元へ戻ることがあります。
滋賀DCを地域の活性化につなげるには、観光コンテンツを増やすだけでなく、駅や観光地から街へ歩きたくなる動線、分かりやすい案内、公共交通と店舗の営業時間の連携などが必要です。
事業者側も、「観光客が増えるのを待つ」のではなく、どの企画で、どのような人が、どの時間帯に地域を訪れるのかを確認し、自店との接点を考えることが大切です。
また、観光地に近いからといって、すぐに新規出店や大規模投資を行うのは慎重に判断する必要があります。キャンペーン期間中の人流だけでなく、地元住民による日常需要、キャンペーン終了後の需要、賃料や人件費まで含めて検討することが欠かせません。
まとめ
27年ぶりとなる滋賀デスティネーションキャンペーンは、2026年秋のプレキャンペーンから、2027年の本番、2028年のアフターまで続く3年間の大型誘客施策です。
プレキャンペーンでは400以上の観光コンテンツが用意され、鉄道、船、スタンプラリーなどを使って、県内各地を巡る仕掛けが始まっています。
滋賀DCによって県外からの来訪者や県内を移動する人が増えれば、観光施設だけでなく、駅前や地域の飲食店、小売店、サービス店舗にも新しい人の流れが生まれる可能性があります。
一方、キャンペーンの効果は地域や立地によって異なります。観光客が実際に通る動線と、地元住民の日常需要の両方を見ることが、店舗や不動産の活用を考えるうえで重要になります。
テナントテラスでは、滋賀県内の店舗・事務所・倉庫などの事業用物件を取り扱っています。人の流れや地域特性を踏まえた出店場所、空き店舗の活用についてもお気軽にご相談ください。
参考情報
・滋賀県「滋賀DCのプレキャンペーンが10月1日から開始!」
※キャンペーン、イベント、きっぷなどの内容・期間は変更される場合があります。利用前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。













