店舗を出す場所を考えるとき、多くの人が気にするのが「駅の利用者数」です。
駅を利用する人が多ければ、駅前を歩く人も多く、店舗の認知や来店につながりやすいと考えられます。ただし、利用者数が多い駅であれば、どの場所・どの業種でも集客できるわけではありません。
通勤や通学で乗り換えるだけの人もいれば、駅からバスや自転車ですぐに移動する人もいます。駅の東口と西口で、人の流れや街の性格が大きく異なることもあります。
今回は、滋賀県内の駅別利用者数を確認しながら、県内の主要駅がどのように利用されているのか、店舗立地を考えるときに数字をどう読むべきかを整理します。
滋賀県で利用者が多い駅、上位10駅
スタディサプリ進路が掲載する滋賀県の駅ランキングでは、1日の利用者数は複数の鉄道会社における乗車人数と降車人数の合計として集計されています。
掲載データによる上位10駅は、次のとおりです。
1位 草津駅 58,114人
2位 南草津駅 53,720人
3位 石山駅 41,368人
4位 瀬田駅 34,294人
5位 近江八幡駅 33,996人
6位 守山駅 33,714人
7位 大津駅 33,164人
8位 膳所駅 30,137人
9位 野洲駅 27,190人
10位 米原駅 22,624人
草津駅と南草津駅が5万人を超え、県内で頭一つ抜けています。3位以下には、大津市内の石山、瀬田、大津、膳所が入り、JR琵琶湖線沿線の駅が上位を占めました。
11位以下を見ると、彦根駅が20,659人、栗東駅が18,148人、大津京駅が17,994人、堅田駅が14,750人、能登川駅が12,604人と続きます。県南部の駅が上位に多い一方、米原駅や彦根駅など、県北東部の拠点駅も上位に入っています。

滋賀県内の上位10駅。乗車人数と降車人数の合計。
なお、このランキングは運営会社が独自に集計したもので、掲載情報が最新ではない場合があると明記されています。駅同士の規模を比較する参考資料として用い、個別の出店判断では鉄道会社や自治体の最新資料、現地調査も合わせて確認する必要があります。
草津・南草津―県内最大級の駅勢圏
草津駅はJR琵琶湖線と草津線が接続する駅で、県内1位の利用者数です。駅周辺には商業施設、飲食店、事務所、マンションが集まり、通勤・通学だけでなく、買い物や業務目的の人の動きがあります。
南草津駅は県内2位で、草津駅との差は約4,400人です。周辺の住宅開発に加え、大学方面へ向かうバス利用者や学生の動きがあることも特徴です。
利用者数が多い分、駅近物件は賃料や競合も高くなりやすく、空いている区画が必ずしも希望条件に合うとは限りません。飲食、物販、サービス、医療など、業種ごとに必要な人流の時間帯と客層を見極める必要があります。
石山・瀬田・大津・膳所―同じ大津市でも商圏は別
大津市内では、石山駅が3位、瀬田駅が4位、大津駅が7位、膳所駅が8位に入りました。
同じ大津市の琵琶湖線沿線でも、駅ごとに周辺の性格は異なります。石山は京阪電車との接続や駅前商業、瀬田は住宅地と大学方面へのバス交通、大津は官公庁や事務所、膳所は住宅と商業施設への動線など、それぞれ異なる需要があります。
市単位の人口や駅利用者数だけで一括りにせず、駅からどの方向へ人が移動し、何の目的で滞在するのかを見ることが大切です。
近江八幡・守山・野洲・栗東―駅と車の両方を見る
近江八幡駅、守山駅、野洲駅は、京都・大阪方面へ通勤する人が利用する駅でありながら、駅周辺の住宅地や生活サービスを支える拠点でもあります。
一方、滋賀県では駅の利用者であっても、自宅から駅までは自転車、バス、自家用車の送迎を利用する人が少なくありません。駅前に人が集まっていても、改札から駐輪場やバス乗り場へ短時間で移動し、店舗の前を通らないケースがあります。
栗東駅も1日18,148人の利用がありますが、市内の店舗需要は駅周辺だけではありません。国道や県道、住宅地、事業所の分布によって車の動線が生まれるため、駅利用者数と道路交通の両方を確認する必要があります。
米原・彦根―県北東部の交通・観光拠点
米原駅は県内10位の22,624人で、東海道新幹線、東海道本線、北陸本線、近江鉄道が接続する広域交通の拠点です。駅の役割は大きいものの、乗り換えで駅構内を通過する利用者も含まれるため、利用者数の多さがそのまま駅前の回遊人数になるとは限りません。
彦根駅は県内11位の20,659人です。通勤・通学に加え、彦根城をはじめとする観光目的の利用も考えられます。日常利用を想定する店舗と、観光客を対象とする店舗では、見るべき曜日、時間帯、駅からの動線が異なります。
県北東部では、鉄道利用者だけでなく、周辺市町から自家用車で訪れる人も含めて商圏を捉えることが重要です。
甲賀・湖南―駅利用者数では見えにくい需要
甲賀市の貴生川駅は、JR草津線、近江鉄道、信楽高原鐵道が接続する交通結節点です。ランキング上の利用者数は8,460人ですが、複数路線の乗り換えや送迎、周辺地域からの移動があります。
湖南市や甲賀市では、工場や事業所、幹線道路沿いの店舗など、駅前以外に形成される需要も大きな割合を占めます。駅利用者数が少ないから市場が小さいと判断すると、ロードサイド需要や事業所需要を見落とす可能性があります。
特に飲食店、物販店、倉庫併設店舗などでは、駅徒歩よりも駐車台数、道路からの見え方、車の入りやすさ、周辺の昼間人口が重要になることがあります。
駅利用者数が多くても、店舗前を通るとは限らない
駅の利用者数は、その駅の規模を知るうえで便利な指標です。しかし、利用者全員が駅前店舗の見込み客になるわけではありません。
たとえば、駅構内で別路線へ乗り換える人、改札からバス乗り場へ直行する人、送迎車ですぐに帰宅する人は、駅前を回遊しない可能性があります。
反対に、駅利用者数がそれほど多くなくても、住宅地から駅へ向かう生活動線上にあり、近隣住民が日常的に立ち寄る場所なら、安定した需要を期待できることがあります。
「駅の数字」と「物件前の人流」は別のデータです。最終的には物件の前に誰が、いつ、どちらの方向から来るのかを確認する必要があります。

駅の数字に現地観察を加えることで、商圏の実像が見えてきます。
出店前に現地で確認したい5つのポイント
1.改札と出口から人が流れる方向
東口と西口、北口と南口では、商業施設、住宅地、バス乗り場、学校、事業所の位置が異なります。検討物件の前を実際に人が通るか確認します。
2.平日朝・昼・夕方と休日の違い
通勤客が多い駅でも、昼間は人通りが減ることがあります。候補物件は一度だけでなく、複数の曜日と時間帯に確認しましょう。
3.バス・自転車・送迎車への乗り換え
駅利用者が改札後にどの交通手段へ移るのかを見ます。バス停、駐輪場、送迎スペースへの最短動線に店舗があるかどうかで、視認される機会は変わります。
4.周辺の住民・学生・就業者
同じ利用者数でも、学生中心、会社員中心、近隣住民中心では、利用される時間帯や客単価が異なります。出店業種と駅周辺の客層が合うかを確認します。
5.駐車場と車での入りやすさ
滋賀県では駅前店舗でも、車で来店するお客様を想定する必要があります。駐車台数だけでなく、道路からの視認性、右左折のしやすさ、満車時の対応も重要です。
まとめ
滋賀県の駅利用者数では、草津駅と南草津駅が5万人を超え、石山、瀬田、近江八幡、守山、大津、膳所、野洲が続きます。
駅利用者数は店舗立地を考えるための有力な入口ですが、それだけで売上や店舗需要が決まるわけではありません。出口別の人流、時間帯、乗り換え、周辺客層、車でのアクセスを重ねて見る必要があります。
数字で候補エリアを絞り、最後は現地で物件前の動きを確かめる。この2段階で考えることが、滋賀県で店舗立地を選ぶときの大切なポイントです。
テナントテラスでは、滋賀県内の店舗・事務所・倉庫などの事業用物件を取り扱っています。駅前とロードサイドの違いを含め、出店エリアや物件選びについてもお気軽にご相談ください。
参考情報
・スタディサプリ進路「滋賀県|1日の利用者数が多い駅ランキング」
※掲載した利用者数は、出典ページに掲載された乗車人数と降車人数の合計です。出典元が独自に集計した参考値であり、最新の公式統計とは異なる場合があります。店舗需要や売上を保証するものではありません。













