2026年9月、長期金利の指標となる新発10年国債利回りが3%台に乗せました。
日本の長期金利が3%台となるのは約30年ぶりです。長く続いた超低金利を前提に不動産を取得・運営してきた家主にとって、これは一時的な金利変動として片づけにくい出来事です。
ただし、「長期金利が3%を超えたから、不動産融資もすぐに3%を超える」という単純な話ではありません。
大切なのは、低金利に戻ることを期待して待つのではなく、金利が存在することを前提に、家主業の収支と投資判断を組み直すことです。

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長期金利3%台は、家主業の前提が変わったサイン
2026年9月1日の国内債券市場では、新発10年国債利回りが一時3.005%まで上昇しました。3%台は1996年以来の水準です。
長期金利は、固定型の住宅ローンや企業向け融資など、さまざまな長期資金の金利を考える際の基準の一つになります。家主業にとっても、新規借入れや借換え、固定金利期間終了後の条件に影響が波及する可能性があります。
さらに、日本銀行が公表する長期プライムレートは、2026年8月時点で3.25%です。市場金利と銀行の貸出金利は同じではありませんが、資金調達コストが上向いていることは確認できます。
長期金利3%と、実際の不動産融資金利は別物
不動産融資の金利は、長期金利だけで決まるものではありません。
変動金利か固定金利か、借入期間、担保評価、自己資金、物件収益、借主の信用力、金融機関との取引状況などによって条件は変わります。変動金利では短期プライムレートなどの影響を受ける場合もあり、長期金利の上昇がそのまま同じ幅で反映されるわけではありません。
そのため、ニュースの「3%」だけを見て慌てるより、自分の借入れについて、次回の金利見直し時期、固定期間の終了時期、返済予定表を確認することが先です。
金利のある世界で変わる、家主業の5つの常識
1.「借りられる額」より「返し続けられる額」を見る
低金利時代は、借入額を増やしても返済額が抑えられ、収支を組み立てやすい環境でした。今後は、満室時の収支だけでなく、空室、修繕、金利上昇が重なっても返済を続けられるかを見る必要があります。
例えば、5,000万円を20年・元利均等返済で借りる場合、金利が年1.5%から2.5%へ上がると、毎月返済額は概算で約24万1,000円から約26万5,000円となり、年間負担は約28万円増えます。実際の条件は借入方式などで異なりますが、1%の差を小さく見ることはできません。
2.表面利回りではなく、金利との差を確認する
物件の表面利回りが同じでも、借入金利が上がれば、返済後に残る現金は減少します。固定資産税、保険料、管理費、空室損、修繕費を差し引いた後の収益と、資金調達コストとの差が十分にあるかが重要です。
購入時には、現在の金利だけでなく、「金利がさらに0.5%上がった場合」「1%上がった場合」の収支も試算しておきたいところです。
3.物件価格と出口価格を強気に見すぎない
一般に、投資家が求める利回りが上がれば、同じ賃料収入でも購入できる物件価格は下がりやすくなります。ただし、地域の需給、土地値、建物の状態、融資姿勢によって動きは異なるため、金利上昇だけで物件価格が一律に下がるわけではありません。
それでも、将来も低い利回りで売却できることを前提にした計画は危険です。売却時の想定利回りを厳しめに置き、残債を返済した後にいくら残るかまで確認する必要があります。
4.賃料改定は必要でも、借主の経営を無視しない
金利、修繕費、保険料などの上昇は、家主にとって賃料を見直す理由の一つになります。しかし、家主の返済負担が増えたからといって、賃料を同じ割合で上げられるわけではありません。
周辺相場、現在の賃料、契約内容、物件の利便性、これまでの改定経緯などを踏まえ、借主と話し合う必要があります。長く営業を続けられるテナントを守ることも、家主の収益を安定させる重要な経営判断です。
5.手元資金は「余っているお金」ではなく経営資源になる
金利上昇と同時に、建築費や修繕費も高い状態が続いています。空室期間中の返済、大規模修繕、設備故障などに対応するには、一定の現預金が必要です。
繰上返済には利息を減らす効果がありますが、手元資金を使い切れば、突発的な工事に対応できません。返済額を減らすことと、資金余力を残すことのバランスが大切です。

建物の収益と維持管理を一体で考える家主業のイメージ(生成画像)
既存の低い固定金利は、物件の強みになる
金利のある世界では、過去に低い固定金利で調達できた借入れそのものが、安定経営を支える条件になります。
借換えを検討する場合も、表示金利だけでなく、固定・変動の別、残存期間、手数料、違約金、担保条件まで含めて比較する必要があります。安い金利を求めて借換えた結果、固定期間が短くなったり、諸費用を含めると効果が小さかったりすることもあります。
これからの家主業は「保有」より「経営」の差が出る
金利がほとんど意識されなかった時代は、物件を取得し、長く保有するだけでも収支を確保しやすい面がありました。
これからは、借入条件を把握し、空室を減らし、適切な修繕を行い、借主との関係を維持しながら、出口まで設計する経営力がより重要になります。
一方で、金利上昇は悪いことだけではありません。過度な借入れを前提にした購入競争が落ち着けば、収益力のある物件を適正価格で選べる機会が増える可能性もあります。
「金利が下がったら考える」のではなく、金利がある状態でも成り立つ計画を作る。これが、今後の家主業の基本になりそうです。
参考資料
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。実際の融資条件、税務、売買判断については、金融機関や税理士などの専門家へご確認ください。













