小規模のテナントビルや店舗物件は、大規模ビルとは賃料の相場がまったく異なります。
実は、小規模物件の相場は明確には決まっていないのです。
では、実際のところどのように賃料を定めているのでしょうか。
この記事では、小規模テナント物件や居抜き物件を所有しているオーナー向けに、賃料相場の決め方について紹介します。
テナント賃料相場の決まり方①:小規模テナント物件編
都心のオフィスビルなどの大規模テナント物件は、周辺環境や築年数など街や物件の質によって一定の相場が定められています。
そのため、坪単価で計算すれば物件ごとの賃料比較も簡単です。
小規模テナント物件でも、多くの物件が該当する中心価格帯は地区ごとにある程度掴めます。
しかし、賃料設定の理由が推測できないものを含めて、中心価格帯から外れた物件は少なくありません。
このような物件の賃料相場が不明瞭な理由は、物件を借りるテナントの差にあります。
大規模物件を借りるのは、多くがオフィスとして利用したい企業です。
しかし、小規模物件を借りるテナントは物件の使い方や借りる動機、トップの考え方までさまざまです。
しかも、特に店舗物件では用途によって最適な立地も異なります。
そのため、自分の物件の価値を認めてくれるテナントが現れれば良いとする考えから、相場と外れた賃料の物件が出てくるのです。
とはいえ、事務所物件などでは大規模物件と同様、ある程度相場が定まっているケースもあります。
テナント賃料相場の決まり方②:居抜き物件編
飲食店舗などに多い居抜き物件とは、設備や家具などがすでにある物件です。
そのため、付属設備の価値も含めて物件の価値が判断されます。
特に店舗不動産では、周辺環境によって大きく相場が変動します。
タワー型物件も建てられるマンションやオフィスなどより物件の供給量が少ないうえ、店を営業して客に来てもらう観点から、扉の位置など少しの違いで賃料が異なるケースも存在するためです。
さらに、居抜き物件の賃料が決まる要因にはもう1つ、設備の売買費用もあります。
ただ、実際には店舗付属資産や造作費として違った名前でやり取りされたり、場所の権利を売り渡す権利金の中に含まれていたりするケースも少なくありません。
特に居抜き物件は数が少ないため、流通の内情が不透明なのです。
まとめ
小規模のテナントビルや店舗物件は、大規模物件と比べて賃料相場が明確でないため、オーナーの考える価値がそのまま通りやすくなっています。
立地やテナントの考え方によって借りる側から見た価値も異なるためで、特に数が少ない居抜き物件は設備の売買費用を権利金の中に含む契約が交わされるケースもあります。
このような物件を所持しているのであれば、好条件で貸し出せるチャンスです。