テナントを募集しているものの、なかなか申し込みにつながらない。
そのような場合に検討される募集条件の一つが「フリーレント」です。
フリーレントとは、賃貸借契約の開始後、一定期間の賃料を免除する仕組みです。店舗や事務所では、内装工事や開業準備に時間と費用がかかるため、借主の初期負担を軽くする条件として利用されます。
ただし、単に「最初の賃料を無料にする」だけでは、オーナーにとって有効な空室対策にならないこともあります。
今回は、テナント募集でフリーレントを設定する効果と、契約前に確認しておきたい注意点をご紹介します。
フリーレントがテナント募集に有効な理由
店舗や事務所を借りる事業者は、契約時に保証金や礼金、仲介手数料などを支払い、その後も内装工事費、什器、設備、広告費などを負担します。
さらに、営業を開始する前から賃料が発生すると、売上がない期間にも固定費がかかります。
フリーレントを設定すると、この開業準備期間の賃料負担を軽減できます。借主にとって資金計画が立てやすくなり、複数の物件を比較している場合の決め手になることがあります。
オーナーにとっても、募集賃料そのものを下げずに入居を促せる点がメリットです。
賃料値下げとフリーレントの違い
フリーレントを検討するときは、毎月の賃料を下げる場合との違いを確認しましょう。
たとえば、月額賃料20万円の物件を3年間貸す場合で比較します。
・1か月のフリーレント:収入減少は20万円
・月額1万円の値下げ:3年間で36万円の収入減少
この例では、1か月のフリーレントの方が、3年間の総収入への影響を抑えられます。
また、賃料を値下げすると、将来の更新や売却査定にも低い賃料が影響する可能性があります。一方、フリーレントは期間を限定した条件なので、契約上の月額賃料を維持できます。
ただし、空室期間が長期化している物件や、募集賃料自体が周辺相場より高い物件では、フリーレントだけで解決しないこともあります。
フリーレントを検討しやすい物件
フリーレントは、特に次のような物件で検討しやすい募集条件です。
・スケルトン状態で内装工事に時間がかかる店舗
・事務所の移転準備や二重家賃が発生する場合
・一定期間、問い合わせや内覧はあるものの成約しない物件
・賃料を維持しながら募集条件に変化をつけたい物件
・長期入居が期待できる事業者を誘致したい物件
反対に、もともと問い合わせが多い物件や、内装工事をほとんどせず利用できる物件では、無理に設定する必要はありません。
フリーレント期間はどのくらいが適切?
適切な期間は、物件の状態や業種、工事内容、空室期間によって異なります。
たとえば、事務所であれば移転準備に必要な期間、店舗であれば内装工事から開業までの期間が一つの目安になります。
重要なのは、借主の希望だけで決めるのではなく、オーナーが負担する免除額と、成約によって短縮できる空室期間を比較することです。
「1か月無料なら決まる可能性が高いのか」「条件を付けなくても近いうちに決まりそうか」を、問い合わせ件数や内覧後の反応から判断しましょう。
契約書で明確にしておきたい条件
フリーレントを設定する場合は、口頭だけで済ませず、賃貸借契約書や特約に条件を明記する必要があります。
主な確認項目は次のとおりです。
・賃料が免除される期間
・共益費、駐車場代、水道光熱費なども免除するか
・保証金や礼金などの算定基準となる賃料
・フリーレント期間中に解約できるか
・短期解約時に免除賃料を支払う必要があるか
・賃料の支払開始日
特に注意したいのが、契約後すぐに解約されるケースです。
長期入居を前提に賃料を免除するのであれば、「契約開始から一定期間内に解約した場合は、免除した賃料相当額を違約金として支払う」などの短期解約条項を検討します。
実際の契約内容は物件や取引条件によって異なるため、契約書を作成する際は不動産会社や専門家へ確認しましょう。
フリーレントだけに頼らないことも重要
問い合わせがまったくない場合は、フリーレント以前に、募集条件全体を見直す必要があります。
・賃料が周辺相場と合っているか
・募集できる業種を狭めすぎていないか
・電気、ガス、給排水などの設備情報が明確か
・写真や図面で物件の魅力が伝わっているか
・駐車場や看板など、事業用物件に必要な条件が整っているか
内覧は入るものの、初期費用や開業準備期間が理由で決まらない場合には、フリーレントが有効な可能性があります。
どの段階で候補から外れているのかを見極めてから、対策を選ぶことが大切です。
まとめ
フリーレントは、契約上の月額賃料を維持しながら、借主の開業時の負担を軽減できる募集条件です。
一方で、期間や免除対象、短期解約時の扱いを曖昧にすると、後からトラブルになる可能性があります。
空室期間、周辺相場、想定する業種、内装工事の内容などを踏まえ、賃料値下げとどちらが効果的かを検討しましょう。
テナントテラスでは、大津市・草津市・栗東市・守山市・野洲市・近江八幡市・湖南市・甲賀市を中心に、店舗・事務所・倉庫などのテナント募集や賃料査定を行っています。空室対策や募集条件についてお悩みのオーナー様は、お気軽にご相談ください。













